吹田徳洲会病院

がんカテーテル治療センター

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当センターの特徴

がんに対するカテーテル治療は、世界的にみても原発性肝癌を中心とした一部の病気に限定し実施されています。
当センターでは医学的な適応があれば、首から下の様々な臓器の、様々な種類のがんに対してカテーテル治療を行っています。当センターの特徴は下記の4つにまとめられます。


1.腫瘍内科が実施する繊細な技術

通常、がんのカテーテル治療は放射線科が主体で実施されることが多いのですが、放射線科は業務の関係から手術の技術的部分だけに関与することが多く、がんの経過において患者さんとのコミュニケーション不足に陥りやすいのが問題です。
当院は放射線科医と同等以上の技術を持った腫瘍内科医自身が主治医となって、皆様の外来診察、入院管理を一貫して責任を持って行っています。
またカテーテル治療の際も、抗がん剤の選択、カテーテル挿入、抗がん剤とビーズの動脈投与といった全ての治療過程を、担当主治医が自ら行っていますので、常に病状の変化やご心情の変化に対して適切に対応することが可能です。
さらに全ての担当医が、カテーテル技術に卓越したIVR(画像下治療)専門医ですので、安心して治療に望むことが出来ます。

2.抗がん剤の動脈投与

当センターではビーズの他に術中、少量~中等量の抗癌剤を併用します。抗癌剤を点滴や内服で投与すると、どうしても病気に届くまでに血液で希釈されて、実際の腫瘍内の抗がん剤濃度は何倍も低くなります。
上述の適切な技術によってカテーテルを腫瘍のすぐ近くまで運び、そこから抗がん剤を直接投与すれば、濃厚な抗がん剤が腫瘍を直接曝露して、腫瘍を攻撃する効果が最大限まで発揮される可能性があります。
また腫瘍への効果が高くなることで、動脈注入量も全身投与時と比較し1/3〜1/2程度に減量することが可能ですので、吐き気や白血球減少などに代表される副作用で抗がん剤投与を断念した患者様にも適応が拡大しやすいのも特徴です。体力に自信のない患者さんやご高齢の患者さんにも導入しやすいと思われます。
また動脈注入される抗がん剤の選択に関しても、静脈投与時とは異なる薬理学的知識と経験が必要となります。
当センターでは様々ながんに対する抗がん剤の選択に関して経験と臨床データが豊富ですので、腫瘍とお身体の状態をみて担当医が適切な治療をご提案させて頂くことが可能です。

3.ビーズ

当センターの最大の特徴は、ビーズに関する屈指のエキスパート施設であることです。ビーズは2014年に保険承認されたばかりの新しい医療材料です。
従来、がんに対する塞栓物質は1mm程度のサイズのゼラチン粒を主に使用していました(図1)。
一方、ビーズは0.1〜0.5mm程の表面平滑な微小粒子であり、ゼラチン粒とは比較にならないほど深く腫瘍の中に到達し、腫瘍血管を強く塞き止め、高い兵糧攻めの効果が得られます(図2)。
さらに、ビーズはその内部に高濃度の抗がん剤を貯め込むことが可能です。投与されたビーズが腫瘍の中に到達すると、腫瘍の中で数日間かけてゆっくりと抗がん剤を放出します。これによって腫瘍の抗がん剤暴露量が全身投与よりもはるかに高くなります(図3)。
また全身に流出する抗がん剤が減量しますので、抗がん剤による副作用も少なくなります。
ビーズを使ったがんに対する塞栓術の臨床経験数は国内外でも群を抜いています。
当センター長の今までのビーズの使用経験は10年以上で約2500症例です。大腸癌など様々な癌腫の肝転移、婦人科癌骨盤再発、様々な癌腫の肺転移の症例実績が多くなっています。そして当センターでの治療成績を様々な学会や論文で報告しています。また近年、緩和医療チームの協力を得て、従来の麻薬等の薬物治療だけでは症状の緩和が難しい様々な癌性症状に対して動注療法を実施しており、カテーテル治療を緩和両方の一環として行っています。

図1


図2


図3


図1)従来使っていたゼラチン粒。大きさも形も不均一で、ビーズよりも約2〜10倍くらい大きいため、腫瘍血管よりも手前までしか入らない。
図2)腫瘍血管の中を適切に閉塞しているビーズの顕微鏡画像(ピンク色の形状が均一な球がビーズ)
図3)腫瘍の中まで到達したビーズが、腫瘍内部の血流を遮断し、かつ腫瘍の中から抗癌剤を放出しているイメージ。

4.保険診療であること

当センターでのすべての医療行為は原則、医療保険で実施されます。塞栓術まで実施した場合は保険診療上の手術治療に該当します。カテーテル治療は副作用が少ないため比較的短期間(4~5日程度)の入院で実施しています。通常の標準的治療で効果の出にくくなった患者さま、副作用で体調の悪い患者さまが多いため、1回の治療の負担を軽減し、その分短期入院を月1回ペースで繰り返しながら、じっくりとがんの進行を抑える「がんとの共存」を目指した低侵襲治療だとお考えください。治療効果の良好な場合は、ご本人さまと相談しながら1ヶ月〜3ヶ月程度の間隔で10回以上実施された方もおられます。 また当センターで治療中の方で、不意に体調が悪くなったり、偶発的に別の病気になられた場合も、当院は総合病院ですので、必要な内科的、外科的、緩和医療的な治療を目的として別途外来診察、入院診療させていただきますのでご安心ください。