当科の限局性前立腺癌根治放射線治療

当科の限局性前立腺癌根治放射線治療の特徴・特色

患者さんの体に最も負担の少ない超低侵襲治療を追求し提供します。

① 当院の限局性前立腺癌の根治放射線治療では、画像誘導放射線治療(IGRT)という放射線治療機器搭載型CTによる0.1mm単位で位置補正可能な高度な位置合わせ技術と、AI(人工知能)を用いた知識ベース放射線治療計画による強度変調放射線治療(IMRT)を組み合わせた高精度寡分割放射線治療(21回照射法)による治療を行っております。

② 当科は前立腺癌の放射線治療後に問題となりやすい後遺症(晩期有害事象)である”放射線直腸炎による血便”の重症化を漢方による薬物療法で防ぐことができる可能性を臨床研究により世界で初めて発見し、国際学会で報告しました。1)従来は隣接している前立腺と直腸の間にハイドロゲルスペーサー(SpaceOARⓇ等)を会陰部より針刺入で挿入することで両者の距離を物理的に離して直腸ダメージを低減して直腸出血を予防していましたが、今後は漢方内服によりこうした身体侵襲的措置が不要になると考えられます。当院では薬物療法と高精度放射線治療を併用した超低侵襲治療を推進しています。
*1)薬物療法による後遺症予防の成績は第65回米国放射線腫瘍学会にて海外発表を行っております。

〔徳洲新聞(1416号)掲載記事〕こちらをクリックするとPDFが表示されます。

Fujiwara M, Nakayama J, Sakamoto J, et al. Effect of Daikenchuto Therapy on Risk of Rectal Bleeding after IMRT for Prostate Cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2023;117(2):e384

 

当科の限局性前立腺癌の治療成績

当科で2014年から2022年にかけて治療された限局性前立腺癌の患者さんの治療成績です。

当院の前立腺癌根治放射線治療の5年無再発生存率は95.3%と優れた成績を認めています。

 

当科の限局性前立腺癌の主な有害事象の全発症率

直腸出血 19%
肛門痛 10%
排尿出血 15%
排尿痛 5%

 

 

 

 

 

 

止血処置等の介入が必要であった有害事象が認められた全患者さんの割合は約7%でした。

 

大建中湯併用根治放射線治療(薬物療法と高精度放射線治療併用による超低侵襲放射線治療)の主な有害事象の全発症率

直腸出血 4%
肛門痛 4%
排尿出血 9%
排尿痛 7%

 

 

 

 

 

 

大建中湯併用の患者さんでは止血処置等の介入が必要な有害事象は%でした。

 

 

大建中湯を併用した患者さんでは消化管の後遺症が明らかに少ないことが当院の研究で示されましたので、現在は前向き臨床試験として出来るだけ多くの患者さんに大建中湯併用根治放射線治療をお受けいただき、第3者によるモニタリングを併用した綿密な治療経過確認を行っております。

第3者機関:UMIN臨床試験HPへはこちらをクリックしてください。