地域住民皆様のシームレスなご支援に向け
4部署連携による最善・最適なケアのご提供へ
2019年6月より8階北病棟に「地域包括ケア病棟」50床が動き出すのに先駆けて誕生した地域医療科は、今春で早3年を迎えます。当院では、地域全体の医療・介護・予防・生活支援等の機能を更に拡充し、患者様の包括的なサポートを行うことができるよう2021年9月より「地域医療センター」が立ち上がりました。地域医療センターは、①医療介護連携室、②入退院支援チーム、③メディカルソーシャルワーカー(MSW)、④訪問看護の4本の柱で成り立っています。この4部署が連携して地域住民皆様の日常生活での健康面や困りごとの相談から、スムーズな入退院や自宅での健やかな生活の継続まで、シームレスに支援していきます。この4本の柱は、一見役割が異なる独立した部署と感じるかもしれません。しかし、彼らは地域社会と密接に関わりながら、病院内外で連携しお互いを補完しつつ、予防から医療、介護、福祉まで、当院が地域社会やかかりつけ医の先生等と、切れ目なく「つながる」一連の流れを作っています。その結果、一人ひとりの患者様に最善・最適なケアを提供していくことが可能となっています。
当院は最先端の高度な手術・治療を担う超急性期・急性期病棟だけでなく、在宅復帰に向けての支援等を行う地域包括ケア病棟、慢性期の高齢患者様を対象にした療養病棟を備えています。さらに介護が必要なお年寄りの自立支援等様々なサポートを担う老健施設(徳洲苑)が併設されており、一つの建物に多様な機能を包含した多機能型施設といえます。今春からは新たに「訪問看護」が加わることになりました。訪問看護の参加で地域医療センターの役割を更に強化し、各部署“四位一体”で皆様の安心・安全な生活を支えていきます。
ACP(人生会議)をともに考える 大阪府薬雑誌 2020年5月号
医療介護連携室
当部署はファーストコンタクトセクションで、病院の「顔」であり「玄関」であると考えています。連携する病院や診療所の先生方、高齢者福祉施設の方々、さらには当院の患者様、市民の皆様から、お問合せには全て誠心誠意、スピーディかつ正確にお応えすることをモットーに日々業務にあたっています。おかげさまで最近は、開業医・他病院の先生方からのファーストコールで患者様を紹介していただけるケースが格段に増えてきました。今後の新型コロナ収束を見据えて、当院のドクターと同行し開業医の先生方を訪問させていただく機会を増やし、地域の「連携の輪」を更に拡げていきたいと考えております。
地域医療センターの強調されるキーワード「つながり」を合言葉に、皆様との関係性を強化し、地域に貢献したいと考えています。
医事課次長 加藤至
入退院支援チーム
予約入院患者様の入院時支援の面談が、入退院支援チームが関わるきっかけの一つです。この場で、事前に患者様やご家族の困りごと、経済面・社会面をも含めて不安を感じていらっしゃることにフォーカスをあて、どのような支援―医療のみならず、介護保険や社会福祉制度にまで視野を広げて―が必要なのかを把握します。入院中に対処できる問題ならばすぐに解決に向けて対応を始めますし、必要であれば行政や介護サービスへとつなげてゆくこともあります。退院後の支援について、現在「訪問看護」に対応できるよう体制を整備中です。
新型コロナ感染拡大の影響による面会制限や帰宅困難等の事情で、より多くの不安やストレスに晒されるご年配の患者様も少なくありません。そうした方々が、孤独に陥らないよう「つながる」ことのできる場所を探すことも大切です。また入退院支援は病院内の全病棟、ドクターも含めた全職種と関わりを持ちながら進める業務です。地域を含めた多職種協働により患者様への支援をシームレスにつなげていきたいと思っています。
看護師 杉原豊子
メディカルソーシャルワーカー
私たち MSWが目指すのは、地域の皆さまの悩みごとを拾い、何でも答えられる行列のできる「よろず相談所」です。なぜなら、そういった悩みを伺って解決することこそが、患者様の在宅復帰―一人ひとりのご状態に合わせた復帰―へとつながるからであり、またこれこそが地域医療センターの役割だと思うからです。
このたび新たに「訪問看護」がメンバーとして加わることにより、地域医療センターの機能は更に厚みを増すことになります。今後は、地域の社会資源やコミュニティとの関わりがより身近になるという相乗効果も期待されます。地域全体とつながり、いつでも頼りにしていただける相談員として力を尽くす所存です。
山本大輔
訪問看護
新設される「訪問看護」は、地域の連携体制を強化することが大きな目的です。当院に通院治療中の患者様が、公的介護保険サービスを受けておられ、訪問看護を希望される場合、私たちが介入させていただくことになります。あるいは、当院の一般病棟ご入院中の患者様が、早く住み慣れた自宅に帰るのを望まれた場合に、訪問指導でフォローしていく等のサービスを担うことになります。今後、訪問業務の体制が整うよう努めていきます。
私はもともと病棟勤務が長く、訪問看護は初めて経験する領域です。既に訪問看護の研修を終了して改めて気づいたのは、ケアの基本は同じであっても在宅での看護は「患者様の治療」よりも「生活支援」のウェイトが高いことです。患者様一人ひとりが、ご自宅でその人らしい療養生活を過ごせる環境作りに貢献したいと思います。
看護師 石黒裕子
広報誌
担当医
辻 文生つじ ふみお
地域医療科 部長
地域医療センター センター長
大阪大学大学院薬学研究科附属薬学地域医療研究センター 招聘教授
一般社団法人 吹田市理学療法士会 顧問
公益社団法人 大阪介護支援専門員協会吹田支部 顧問
日本ノルデック・ウオーク学会 役員
(平成28年 第5回日本ノルデック・ウオーク学会学術大会 大会長)
公益財団法人 日本尊厳死協会 関西支部理事
略歴・経歴
1996年3月 東京慈恵会医科大学医学部卒業
1996年5月 国立相模原病院呼吸器アレルギー内科
1999年5月 近畿大学医学部附属病院第4内科助手
2003年4月 近畿大学医学部附属病院呼吸器アレルギー内科助手
2006年4月 近畿大学奈良病院呼吸器アレルギー内科 診療助手
2007年4月 近畿大学奈良病院呼吸器アレルギー内科 診療講師
2008年4月 市立吹田病院呼吸器アレルギー内科 部長
2015年~2018年 吹田市健康増進広場整備方針検討委員
2019年4月 吹田徳洲会病院 地域医療科 部長
2019年~2020年 吹田市地域医療推進懇談会作業部会委員
2021年9月~ 地域医療センター センター長 併任
資格・専門医
社団法人日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医
社団法人日本呼吸器学会専門医・指導医
社団法人日本アレルギー学会専門医・指導医
日本呼吸内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医
社団法人日本感染症学会 感染制御医(ICD)
社団法人日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
呼吸器身体障害認定指定医
日本医師会認定産業医
認知症サポート医
介護支援専門員(ケアマネージャー)
医療福祉情報コーディネーター